砂金
朝 「今日の夜、のこの島に食べに行く?」とボス。
「うん。」 昨晩行くことに皆で決めた。
「でも、今日娘を川に連れて行かなければならないの。」
「?????」
「昨日のテレビで川で
砂金取りをみて、どうし
ても砂金を採りに行きたいって。どの川に行ったらいい?」
「どこでも良い。10キロくらい取ってきてくれ。」
「・・・・・・・・」ボスは口をきかずキッチンへ消える。
お客様の足が途絶え一息ついていると、娘から電話。
「これから白糸の滝に行って来る。」
「砂金取りに?」
「そうだよ。」
「ジャー一杯とて来て。」
「もちろんだよ。ママがのこの島行かなくて良いって聞いてるよ」
「いいよ。」
「私たち何処かで食べてくるからね。遅くなるから自分で食べて
って!!ジャーネー。」 プツ。
後期医療保険の適用の事を真剣に考えなければならない年に
なって突如一人で生活をしろという電話の内容だ。
何という家族だ。
心には大きな穴が開いたように沈み込む。
もうあと3枚残っているハンバーガーのパテイの事はどうでも良くなった。
生きる事の葛藤。
一人で生きてくのか?
目の前が真っ暗になり、パテイとバンズをゴミ箱に。
これから一人でどう生きて行くのか?
心の渇きをどう癒して行くのか?
駐車場から自宅に向かって歩き始める。
だれもいない家に。
どうしたら癒されるのか?
心だけでなく夏日でのどもからからに渇いている。
オヤ-ジ無駄に年を取っていない。
この渇きを癒してくれるのは目には目、砂金には砂金だ。
黄金のシュワちゃんしかいない。
自宅を通り過ぎスーパーに行くと黄金のアサヒ シュワちゃんが冷たく
優しく待っていてくれた。
オヤージには黄金のシュワちゃんさえいてくれれば良い。
砂金に目がくらみ娘と行った義母にはシュワちゃんを、もう分けてあげない。
黄金のシュワちゃんを家で独り占め。
気泡は砂金のように舞い上がり、たちまち心の渇きを癒してくれる。
今晩は誰にもシュワちゃんを渡さないのだ。