バカ　じゃない

ボスが結婚してくれた時に持ってきた食器。

濃いブルーと精細な花模様が特徴。

彼女のお気に入りなのだ。




それにヤギのゴーダチーズ、生ハムを乗せて、

お皿の上でチーズを切っていた。

手がすべり、ナイフが縁に　ガチンと当たった。

「おー、いけねー！　欠けてしまった。」



ふだんはバカのチーズを買う。

スペイン語で牛をバカと言うらしい。

ヤギのチーズは匂いがあって得意ではないんだけど、

お店で試食した時美味しかったから、買ってしまった。


「あのね、謝らなければいけない事があるんだけど。」

「何？」

「このお皿、ここを欠いてしまった。」

「えー！　ＸＸ万円弁償して！」

「う～。体で払えないかな？」

「バカ　じゃないの！！！」

「いえ、ヤギなんだけど。」

お後がよろしいようで。